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感情のコントロール | 税務・会計の専門家 藁総合会計事務所

日々、仕事や家庭で様々な事件がおきます。
その度に「怒り、喜び、憎しみ、嫉妬、恐れ、驚き、悲しみ、幸福感、妬み、いらつき」様々な感情がわき上がり、その感情に支配されます。大概は短期間で忘れてしまいますが、いつまでもその感情に支配されることもあります。なぜ、あの時、あんなことを言ったのだろうか。なぜ、あの時、あの判断をしたのだろうか。ある考えや感情は、その時点では理にかなっているかもしれませんが、冷静になると間違えが多いように感じます。

感情が外部からの刺激による反射・反応と考えると、刺激に対する感情は自動的に思考に負担をかけない無意識な意思決定(感情)です。その時に発生する感情の起伏は、小さな刺激でも大きな感情の起伏であったり、大きな刺激であっても感情が動かされないこともあります。直前の感情の状態や大切なことに対しては、大きな感情の変化が現れる可能性が高まります。
刺激を受けた状態で感情の変化が変わるのであれば、感情のコントロールが可能であるかもしれません。しかし、これはとても難しいことですし、日常の多くの出来事に対して気を遣うことは、大きな負荷がかかることになります。そんな状態を続けていれば、いつかもっと大きな感情の起伏を引き起こすことでしょう。
ただ、自己の感情に客観的であることは難しいですが、他人の感情に対しては客観的であることが可能であるかもしれません。例えば、顧客が不満の感情をあり得ないほどまき散らし、顧客自身が完全に自己のコントロールできなくなっているという状況です。顧客の感情に対して、あなたが苛立つ。「なぜ、そんなことで怒っているか。そんなことは当たり前ではないか。私はあなたのために最大限の努力をしているし、そもそも私の責任ではない。なぜ、そんなことがわからない。世の中にはおかしな人は大勢いる!ただただ、面倒な人だな!」と思う前に、「この事態は、別の角度からはこう解釈できるのではないか」と、考え・視点を意識的にずらすことで、自分の感情を変化させることができます。「あの客が怒っているのには、実は妥当な理由があるのではないか」と考えることができれば、顧客に対する対応が変わるし、顧客対応をしているあなたの感情に負荷をかけることを防ぐことができます。

極限の世界

極限の状態で客観的でいることが可能でしょうか。例えば第二次世界大戦末期のアウシュビッツに囚われたユダヤ人の心理学者ヴィクトール・E・フランクル(心理学者)は、その体験を「収容所生活を体験した者に、体験の最中、彼自身を観察する暇などがあっただろうか。もとより、部外者は距離を取っていた。ただし、取り過ぎていた。経験の激流から遠く離れていた部外者は、妥当なことを言える立場にない。「まっただなか」にいた者は、完全に客観的な判断を下すには、多分距離が近すぎるだろう。しかし、そうだとしても、この経験を身をもって知っているのは彼だけなのだ。もちろん自ら経験した者の物差しはゆがんでいるかもしれない。いや、まさにゆがんでいるだろう。 私がここに書いたことを今一度、今度は没個人的なものにまで蒸留し、ここに私が差し出す経験の主観的な妙録を客観的な理論へと結晶させることは安じて他の人々に委ねようと思う。」と述べています。
もう少し、ヴィクトールの言説を引用してみます。
「人間の苦悩は、気体の塊のようなもの、ある空間に注入された一定量の気体のようなものだ。空間の大きさにかかわらず、気体は均一に行き渡る。それと同じように、苦悩は大きくても小さくても人間の魂に、人間の意識にわたる。人間の苦悩の大きさは、とことんどうでも良く、だから逆に、ほんの小さなことも大きな喜びとなり得るのだ。」
「感情の消滅には、別の要因もあった。感情の消滅は、ここまで述べてきた意味における、魂の自己防衛のメカニズムから説明できるのだが、それだけではなく肉体的な要因もあった。いらだちも、感情の消滅と並ぶ被収容者心理の際だった特徴だが、これも肉体的な要因が認められる。 肉体的な要因は数あるが、筆頭は空腹と睡眠不足だ。」
「強制収容所の人間の内面生活がいびつにゆがむのは、突き詰めれば様々な心理的身体的なことが要因となってそうなるのではなく、最終的には個々人の自由な決断いかんにかかっている。被収容者を心理学的立場から観察して、まず明らかになるのは、あらかじめ精神的にまた人間的に脆弱な者が、その性格を展開している中で収容所世界の影響に染まっていく、という事実だ。脆弱な人間とは、内的なよりどころを持たない人間だ。」
「極限の環境で、客観的であろうと自分の感情との距離を維持し、感情の観察を試みるが、真に客観視できる者との比較では、極限の環境のまっただ中にいる者では、たとえ科学者であったとしても難しい。ただこの密室の過酷な経験を科学者として記述し、光が当たる場所でここでの経験を露わにしようとする試みです。」
ここで大切なのは自分の感情を観察するための「距離」です。先ほども述べたように、瞬間瞬間で生まれる様々な感情を客観的に観察する試みは、極限状態でなくても難しいものです。物事や経験のまっただ中で、環境に振り回される究極の状況で、人として自分が自分のままであるためには、揺るがない自己の決断に頼るしかない。しかしそれはあまりにも脆弱なものです。仮に極限的な環境でなくても、リアルタイムに客観的に自己を分析することで自己を顧みることは大変な忍耐と努力が必要です。

客観的になる(日記の効用)

日記を書くことの効果は「自分の様々な動機を明確にし、認知し、その感情や行動を受け入れることに役立つ」ことです。感情の起伏のまっただ中ではない環境で、つまり客観視することができる環境で感情を整理することに意義があります。
自分の考えと感情に向き合い、次は少し離れて観察し、それらをありのままの姿で受け止める。自分が経験している厄介な感情の正体を見極め、最適な対処法を探すことができるはずです。離れて観察することによって、感情の執着から支配されることを防ぐことができます。頭の中の状態を整理して落ち着かせ、考えとそれを抱く自分の間に空間を作れば、自分の価値観や、大きな目標といった本当に大切なことに集中できるようになります。
また、実在の人や想像上の人といった第三者に対し、その人に語りかける形で書くことが効果的です。また、書くことにより、不安や不満、イライラや悲しみなどネガティブな感情を口に出すことで苦痛が緩和され、安心感を得られます。

日記を読み返す頻度が高いほど、自己表明・対人的積極性が高いことが知られています。自己表明・対人的積極性は、「疑問だと感じたらそれらを堂々と言える、人前でもありのままの自分を出せるなど、自分の意見を揺るぎなく持ち、それを臆さず表現する」ことです。日記を読み返すことで確かな自己を生成することができます。

感情を封じ込める

ネガティブな感情を封じ込めたいという思いは、手軽な方法で、すぐに飛びつきたくなるものですが、これが、よくありません。
社会心理学者ダニエル・ウェグナーは、単純ですが非常に有名な実験をおこなっています。実験の参加者は、シロクマについて考え無いように指示されるが、誰もが無残な結果に終わるのです。「シロクマについて考えてはいけない」と指示されなかった対照群よりも遙かにシロクマについて考えていたのです。「考えてはいけない」という回避策には効果がないのです。
自分の惨めな境遇を嘆き、悩みをじっくりと煮込んだ鍋をいつまでもかき混ぜる。そんな状態から抜け出せず、苦痛や失敗、欠点、不安などにとらわれて気持ちに区切りを付けられない。ネガティブな感情は、心のどこか隅に追いやって、自由になろうとしても、考え無いようにしようとすればするほどネガティブな感情に執着しています。明るく快活ではない態度は弱さの証であるとか、周りの人から疎んじられると思い込む必要はないのです。

人はそれぞれ「感情の個性」を持っています。この感情の個性は、大まかに「ポジティブ感情」と「ネガティブ感情」に大別されます。ネガティブ感情の傾向が強い個性はネガティブな刺激に反応しやすく、ポジティブ感情の傾向が強い個性はポジティブな刺激に反応しやすいといわれています。ネガティブ感情に反応しやすい個性を持っている場合、日記が自己の感情の理解、自己の許容に導くとは限りません。読み返したときにネガティブな事象に反応し、嫌な気分になる人は、日記の使い方を少し変えてみましょう。

最後に、人が何を言うかをコントローすることはできませんが、その言葉をどう受け止め、どう対応するかはコントロールできます。自分の中に現れるポジティブな感情と、ネガティブな感情をコントロールすることはできませんが、即座にその感情に対して反応するのをやめることで、もっと大切な向かうべき方向や目標に焦点を当てることができるかもしれません。


【参考文献】
kazuya, C. (1992). 日記行動が持つ青年期的意義と心理的効果についての探索的研究. 学習院大学人文科学論集 (Vol. 18). 
David, S., & 須川綾子. (2018). EA : ハーバード流こころのマネジメント : 予測不能の人生を思い通りに生きる方法. ダイヤモンド社.
Frankl, V. E., & 池田香代子. (2002). 夜と霧 (新版). みすず書房. 
幸津國生. (1954). 人間として生きること、あるいは内的自由について:ヴィクトル・フランクル「夜と霧」によせて. Social welfare (Vol. 33). 日本女子大学社会福祉学科.

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