東京
年末年始の営業のご案内
師走の候、今年も残すところわずかとなりました。
本年は、格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
年末年始の営業の案内をさせていただきます。
当事務所では、2024年12月28日(土)より2025年1月5日(日)まで年末年始休業とさせて頂きます。
御迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。
来年も本年同様、変わらぬご厚情を賜りますようお願い申しあげます。
米国と日本の税制改正プロセスの違いが大きい!
毎年の恒例行事の税制改正が、今年は103万円やガソリンの税金、防衛費の為の増税などで大きな注目を集めているところです。そんな中で、日本と米国の税制改正プロセスの比較から本質的な問題点を考察してみます。
日本の税制改正が毎年の年度予算編成プロセスの中にあることが、一番の問題となります。
日本は、新年度の歳出計画に見合う歳入を確保するために、与党税制調査会や財務省などの官僚が中心となり、年末から年始にかけて税制改正大綱を策定します。このことは税制が単年ごとの財源確保や部分的な政策誘導のために用いられることで、抜本的な制度改革よりも、利害調整を繰り返す小刻みな改正が常態化することになります。その結果、政策上の理念や中長期的な税制の安定性・合理性といった観点よりも、当面の財源補填や産業・業界団体の要望への対応が優先されやすく、税制全体が複雑化・不透明化しやすくなります。
税制が政治的配慮や予算確保という短期目標に引きずられ、中長期的な体系性や簡素化、公平性の確保といった重要な指標が後回しになり「税制のゆがみ」を生みだすことになります。
国税庁の相続税の事績、調査の状況から読み取れ!
国税庁が公表した「相続税申告の状況について(令和5年事務年度分)」および「相続税調査の状況について(令和5年事務年度分)」という2つのデータから、納税者が相続において、どのようなトラブルや追加負担が防げるかについて説明します。
1. 相続税申告件数や課税件数の傾向から学ぶこと
公表データからは、毎年死亡者のうち約10%の死亡者の遺産が相続税の申告の対象となっています。平成27年の相続税の基礎控除の引き上げによりそれまでの相続税の申告割りありが4.4%から8%に、その後現在の9.9%に増え続きています。
そして、令和5年事務年度の相続税の税収は約3兆円となり、改正以前の1.4兆円から大幅に増えています。
早めの情報収集と試算
相続発生前から大まかな遺産総額や借入金などを整理し、相続税が発生しそうか、申告対象になりそうかを見極めることが重要です。事前におおよその資産評価を行うことで、相続税申告の必要性や、どの程度の税負担が見込まれるかを把握できます。
人気のIT補助金、不正は絶対ダメ。
IT補助金不正受給問題が浮き彫りにする課題と対策
近年、中小企業の生産性向上やデジタル化推進を目指した「IT導入補助金」制度が注目を集めています。これは、中小企業や小規模事業者が自社の業務効率化や売上増加を目的にITツールを導入する際、その費用の一部を国が補助する仕組みです。事業者にとってはIT投資に対するハードルが下がり、ITベンダー側にとっては市場拡大につながる「Win-Win」の関係が期待されていました。ところが、ここ数年でこの制度を悪用した不正受給が相次ぎ、業界全体に深刻な影を落としています。
不正受給の手口と背景
不正受給の代表的な手口として、架空のITツール導入計画をでっち上げ、補助金を申請・受給する例が挙げられます。たとえば、実際には導入していないソフトウェアを「導入済み」と偽ったり、実際の費用よりも過大な請求を行ったりするケースがあります。また、ITベンダー側が申請者と結託し、存在しないサービスを提供したかのように報告書類を作成する手口も問題視されています。
生命保険予定利率引き上げ
日本生命保険では保険の契約者に約束する利回り(予定利率)を2025年1月に引き上げます。予定利率上げは約40年ぶりとなります。同業各社も同様に引き上げをおこなう旨の報道がされています。
生命保険の予定利率が上がることによるメリットと、相続税における生命保険金の非課税制度について説明します。
生命保険と相続税の非課税制度
相続税の計算において、生命保険金は「500万円×法定相続人の数」という非課税限度額が適用されます(参考:国税庁ウェブサイト)。これは死亡保険金が遺族の生活保障という性質を持つことから、一定額まで相続税の対象から外す仕組みです。そのため、被相続人が生前に保険料を負担することで、現預金や有価証券を減らし、死亡保険金として非課税枠内での財産移転を行うことが可能になります。この非課税枠は、高額資産を保有する層にとって、相続税負担軽減の有効な手段となりえます。
M&Aに係るトラブル(悪質)
悪質なM&Aが発生しているようです。
例えば、経営者の連帯保証つきの借金がある会社の株式をM&Aで株式を取得し、あえて旧経営者の連帯保証を解除せずに、買い手の新しい経営者が会社を倒産させ、連帯保証のために旧経営者の借金の返済の義務が残っているという悪質な行為です。
中小企業庁では、譲り渡し側の経営者保証を引受けることなく、譲り渡し側の現預金等の資産を移 行し、譲り渡し側の支払いに問題を生じさせ、倒産に至らせるといった行為を複数 回にわたって実施した不適切な譲り受け側の存在が指摘しています。 中小企業庁としては、令和 6 年 8 月 30 日に「中小 M&A ガイドライン(第3 版)」(以下「中小 M&A ガイドライン」という。)を公表し、経営者保証の扱いに 係る対応及び不適切な譲り受け側の排除のための対応等、仲介者・FA に求められ る対応について示し、遵守徹底を求めているところです。
売り手側は、売ってしまえば、お終りではないことを、肝に銘じなければなりません。
慎重な行動が必要です。
相続登記の義務化
相続登記の義務化について、2024年(令和6年)4月1日から不動産の相続登記が義務化されてます。
これは相続が発生した際に、不動産の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に変更する登記手続きを義務化する制度です。
義務化の背景と目的
相続登記がおこなわれないことによる所有者不明の土地は、荒れ地として放置されることが多く、防災上の問題、犯罪の温床となり、地域住民の危険性が高まります。
また、相続の権利者が、土地を売却使用としたり、土地の活用をすることが難しくなります。
義化の目的は、これらの問題を解消し、不動産の適正な管理を促進することにあります。
義務化の内容
- 相続登記の申請期限: 相続を知った日から3年以内に、相続登記を行う必要があります。
- 遺産分割がまとまっていない場合: まだ遺産分割の話し合いがまとまっていない場合でも、「相続人申告登記」を行うことが可能です。この手続きでは、各相続人が単独で相続を申告できますが、これは権利移転の効力は持ちません。
対応すべき事項
所有不動産記録証明制度(2026年2月から)
相続登記義務化のNEWSを書こうと思って調べてていたのですが、所有不動産記録証明制度が2026年2月からスタートするようですね。まだ、ずいぶん先の話になりますが、とても良い制度ですね。
これまでは、相続の対象となる不動産の調査のために、固定資産税通知書や固定資産名寄帳兼課税台帳から所有不動産を確認していました。家族や近しい親族で被相続人のことをよく知っていれば問題がないのですが、一人暮らしの高齢者が死亡し、子供がいないと、相続人である兄弟が亡くなった方の財産のことを知らないことが多いものです。そうなると家捜しをして、発見された資料から確認をしていくしかありません。固定資産税課税通知書があれば、所有不動産の確認ができます。固定資産税通知書がない場合には調査の手がかりがありません。
所有不動産記録証明制度の概要
相続人が全国の不動産を一括で調査できる制度で、2026年2月に開始されます。この制度では、不動産の登記名義人の住所と氏名を基に、不動産の所有状況をリスト化した「所有不動産記録証明書」を発行し、漏れなく不動産を把握できるよう支援します。これにより、相続登記の手続きが簡素化され、相続対策にも活用できます。
税務調査の効率化・情報化
税務署が利用するpipitLINQシステムは、NTTデータが提供する預貯金照会業務の電子化サービスで、税務署が税務調査で利用しています。
このシステムは、税務調査において納税者の資産状況を把握し、適正な課税を行うために金融機関から情報を取得する際に役立ちます。従来の手作業による情報照会よりもスピーディで正確なデータ提供が可能となり、税務調査の効率化と透明性の向上を目指しています。
pipitLINQ(ピピットリンク)は、以下の特徴があります。
・預貯金照会のデジタル化:金融機関への照会業務を電子化。
・セキュリティの強化:安全なデータ処理。
・業務の効率化:手作業を削減。
・迅速な対応:応答時間の短縮。
・法令遵守サポート:規制に適合。
・ペーパーレス:書類の削減。
・データの正確性:自動化によるエラー削減。
・リアルタイム監視:状況をリアルタイムで確認。
・使いやすいインターフェース:操作が簡単。
・システム連携:他のシステムとの統合が可能。
事前確定届出給与について
事前確定届出給与とは、役員に支給する給与の金額や支給時期を事前に確定し、税務署に届け出る制度です。これを利用するためには、株主総会決議から1ヶ月以内、または事業年度開始から4ヶ月以内の早い時期に税務署へ届出が必要です。この制度は、役員に支払う給与やボーナスを損金算入するために重要です。届出た内容(支給額や支給時期)を守らない場合、その給与は損金に算入されません。
事前確定届出給与のポイントは以下の通りです: