会社を退職した個人事業主として開業をするにいたったプログラマーのゆうこ。資金計画について自分で考えてみたが…

「開業したばかりだけど、その後調子はどう?」
先輩プログラマーの鈴木が、ゆうこの自宅であり事務所としている部屋へやって来た。
以前開業前に鈴木に相談にのってもらったときには鈴木の家にお邪魔したが、今日は鈴木がゆうこの家へとやって来た。今日は旦那が休みで子どもの世話を任せているとのことだった。子持ちの主婦でありながら、在宅プログラマーとしての仕事もしっかりこなしている鈴木の家庭内権力は強い。
「いや~慣れないことばかりですが、なんとかやっているところです」
ちょっとした事務作業一つとっても、慣れない作業を自分で調べながらやっていくのは一苦労であるのを実感していた頃であった。
「まぁ初めはいろいろと大変だと思うけど、何かあったら話ならいつでも聞くから」
そう言ってくれる姉御肌の鈴木に、これからもお世話になります!とゆうこは拝むのであった。

「資金計画表を書いてみたんです」と、表を見せるゆうこ。
書いてみたと言う割には空欄も多く、なんだか頼りなく書かれている表を見せられた鈴木。
「開業自体にはあまり費用はかからなかった。この仕事だし経費の種類も多くはないけど…でもあんた、たとえば通信費とか、今までの生活と同じくらいの金額で計算してるでしょう?通信費は仕事で使う割合を決めて按分しなくちゃいけないけど、今までも使っていた携帯とかプロバイダ利用料の他にも、レンタルサーバー代、ドメイン代とか、クラウドサービスの月額利用料とか、事業用として増える経費もあるでしょう」
「確かに、言われてみればそうですね」
「それに、収入がすぐに安定するわけではないのだから、当面の生活費もきちんと考えておかないといけないよ。収入がすぐに入らなくたって、ちゃんとお金がまわるようにしないとね。自分の保険や年金、住民税だって払っていかないと。生活するだけでお金はかかるのよ~」
開業時を思い出している様子の鈴木。
「貯金を元にやれるかなと割と簡単に考えてましたが、心配になってきました…。これから取りかかる案件も、お金が入ってくるのは少し先なんです…」
はぁ、とため息をつくゆうこ。
「もし金融機関で融資をしてもらったり、第三者のサポートを受けるときには経営計画書が必要になるから、作ってみたら?資金計画表も経営計画書に必要になるから、もうちょっと詰めてみなよ」
「そうですね、やってみます!」
鈴木からアドバイスをもらい、経営計画書を作ってみることにした。

 
経営計画書とは

経営計画書とは、事業内容や目的を第三者に説明するためのものです。独立開業するにあたって必ず考える内容を書面に表したもので、自分の考えを理解してもらうための手段となるものです。
必要資金を調達するために金融機関へ融資を希望する場合にも必要となります。

 

経営計画書の書き方

日本政策金融公庫のホームページからダウンロードできる「創業計画書」を参考に作っていきましょう。

1.創業の動機
なぜ事業を始めようと決意したのか、自分の思いを記載してください。

2.経営者の略歴等
これまでの事業経験を記載します。勤務先だけではなく、具体的な実績や経験を記入し自分の実力を記載しましょう。

3.取扱商品・サービス
販売する商品・サービスを3種類記載します。セールスポイントには、どこが売りで、同業他社との違い、こだわりや強みなど、できるだけ具体的に分かりやすく相手に伝わるよう記載しましょう。

4.取引先・取引関係等
販売先、仕入先、外注先の主な取引先を記載します。そしてその取引先の全体に占める割合と回収支払の条件を記入します。この回収支払の条件は、現金で即金なのか翌月末支払なのかで資金繰りに大きな影響を与える重要な項目です。締日や決済日などをきちんと記入してください。

5.従業員
6.借り入れの状況
現在の状況を記入しましょう。

7.必要な資金と調達方法
8.事業の見通し(月平均)
この表を埋めるのに資金計画表を元に記入します。
事業の見通しには売上を多く見積もったり、経費が過小になっていないか等、自分で立てた計画に異常はないかしっかりと判断しましょう。
予定より売上が見込めないことを想定し、売上は低め、経費は多めで試算しそれでも経営ができるような計画であれば良いでしょう。

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